祈年祭と新嘗祭の読み方・意味・時期

2020年3月20日

全国の神社では毎年2月に祈年祭(きねんさい)、11月に新嘗祭(にいなめさい)というお祭りが行われます。

神社のお祭りというと夏や秋に行われ、お神輿をかついだり出店がたくさん出たりするもの(例大祭)を思い浮かべる人が多いと思いますが、明治以降では祈年祭と新嘗祭も大きな意味合いを持つお祭りとなっています。

今回はこの祈年祭と新嘗祭について書いてみたいと思います。

祈年祭は五穀豊穣を祈る

祈年祭(きねんさい)は「としごいのまつり」とも言われその年の五穀の豊穣や産業の発展を祈って執り行われるお祭りで、秋に行われる新嘗祭(にいなめさい)と対となるお祭りです。

農家がほとんどだった時代はその年の豊作を祈って行われていましたが、いろんな産業が増えている現代では商売繁盛といった側面も出てきているかもしれません。

全国の神社と宮中(皇居内)で行われます。

祈年祭の「年」という字は稲を意味するという説があります。この1年で稲がせしっかりと成長し豊かに実りますようにという願いがあるのだと思います。日本人にとってお米がいかに大切な存在であるかが窺い知れますね。

また、我々の日本人の会話では、お米を食べないときでも「今日のご飯何にする?」とか「ご飯に行こう」という表現が出てくることがあります。それだけ日本人にお米が浸透しているということではないでしょうか。

祈年祭の時期について

祈年祭は改暦までは2月4日に行われていましたが、改暦後は2月17日となっています。

ただし、2月17日に行わない神社も多々あり、2月11日の建国記念の日に建国記念のお祭りと一緒に行ったり、寒い地域では3月や4月に行ったりと様々です。

新嘗祭は収穫に感謝する

新嘗祭は「にいなめさい」と読むことが多い気がしますが「にいなめのまつり」、「しんじょうさい」といった読み方をすることもあります。

祈年祭で五穀の豊穣を祈るのに対して新嘗祭は収穫に感謝するお祭りです。

ざっくり言うと祈年祭でお願いしたら新嘗祭で感謝するといった感じでしょうか。

こちらも宮中と全国の神社で行われます。

語源には諸説あるようですが「にいなめ」の「にい」は新穀を、「なめ」は神様が召し上がる物といった意味があるとされています。

新嘗祭の時期について

新嘗祭は11月23日に行われます。

もともとは冬至に行われ、それがのちには11月の2回目の卯(うさぎ)の日に定められたそうです。

さらに新暦に変わった明治6年、新暦の11月2回目の卯の日が11月23日だったため、11月23日に行われたところ、これが翌年以降も11月23日に行うものとして定着したようです。

神嘗祭と新嘗祭の違い

伊勢の神宮では10月17日に神嘗祭(かんなめさい)というおまつりが行われます。新嘗祭と同様に新穀をお供えする儀式で、皇室から神宮に勅使(天皇の使い)が遣わされるそうです。

また、祭器具が一新されるので、神嘗祭は「神宮の正月」ともいわれているようです。

皇室でも明治4年以降、神嘗祭が行われています。 宮中の賢所(かしこどころ)という場所に陛下が新穀をお供えされます。

神嘗祭と新嘗祭の違いですが、どちらも新穀を神様にお供えするのに変わりはありませんが、新嘗祭は天皇陛下が新穀を捧げられたのちに、食される祭儀も行われるとのこと。

新嘗祭には陛下が新穀を食される儀式があるという点が違いでしょう。この点については熊野那智大社のホームページにて解説されています。

神嘗奉祝祭について

神嘗祭に合わせて全国の神社では神嘗祭遥拝式や神嘗奉祝祭というお祭りを行うところもあるようです。「遥拝式(ようはいしき)」というのは遠くから遥かに拝むこと。「 奉祝祭 (ほうしゅくさい)」というのはお祝いするお祭りです。

聞くところによると15年ほど前に神嘗祭遥拝式という名称だったものが神嘗奉祝祭となり、お祭りの意味合いも変わったそうです。

ただ、神社によっては「神嘗祭遥拝式・神嘗奉祝祭」と併記されていたり、 神嘗祭遥拝式と書かれていたりするので式の細かい部分は神社によって様々でしょう。

天皇即位後1回目の新嘗祭は大嘗祭

源五郎さんによる写真ACからの写真

令和元年は陛下がご即位されて1回目の新嘗祭の年でしたが、即位されて1回目の新嘗祭は大嘗祭(だいじょうさい・おおにえまつり・おおなめまつり)と言い、新嘗祭よりも大きな規模で特別な儀式が行われました。

ニュースなどでご覧になった方も多いかと思いますが、天皇陛下が御在位されている間で1度しか行われないので、かなりレアな場面をリアルタイムで目撃したわけです。

宮中祭祀なので、我々の知らない難しいことばかりですが、日本のルーツや伝統に触れる貴重な時間だったのではないでしょうか。

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