神主記録、やっと奉職後の話となります。お待ちだった方すみません。ただし、皆さんがイメージするような大きな神社の話ではなく、小規模で地鎮祭ばっかりの神社のちょっと変わったお話です。

地鎮祭(じちんさい)とは家を建てる前に工事の報告、工事の安全を祈る祭です。どんなことをやるかについては過去に書いた記事をご覧ください。

出社日を変更される

さて、「休みが多いやん」とかいう理由で奉職先を決めてしまった私。3月某日から神社にて仕事(神社的には神明奉仕)に励むことになったのですが、学生生活最後の春休みを過ごしていたら大学の養成室から電話が。

「神社から電話が掛かってきて、何日から来れるか聞かれたんだがどうなっとるんだ。」との話。

ふぁっ!?初出社の日決まっとるのにどういうことやー。どうやら奉職先の宮司さんが日にちを決めたのにそのことを忘れていたらしい・・・(オイオイ

理由はあとで分かりますが、少しでも早い時期に出社してほしいらしく予定よりも数日早い初出社となりました・・・

神主が数人規模の神社の宮司さんって良くも悪くも自由奔放な人が多い気がします(汗

地鎮祭を覚えさせられる

私が奉職した神社は業界的には外祭屋(がいさいや)と呼ばれる神社。参拝者が少ないので外のお祭り(ほとんどが地鎮祭)で社入を得ている神社です。

そんなわけで入社早々に地鎮祭を叩き込まれることになりました。

大学の授業で作法は学んでいますが、基本的な部分だけで地鎮祭はほんの少しやっただけ・・・神主として経験を積めばやったことの無い式でも式次第を見て打ち合わせをすれば「これはこう動こう」とか「参列者をこう案内しよう」とか分かってくるのですが、いかんせん大学を出たてでほぼ何にもわかりません。

先輩に教わりながら、地鎮祭の準備、施主さんへの説明、作法などについて実際に行ったり、先輩について地鎮祭へ行ったりしてやり方を覚えていきます。

どうやら近々地鎮祭が大量にあって、そこに間に合わせたいらしい・・・入社日を早めたのも早く地鎮祭に行かせたいからという理由のようでした。いやー社入って大事ですねえ・・・

神社に付属の養成機関で学んだら実践的な人材になるらしい

余談ですが、大きな神社は神職養成所なるものを持っているところがあり、大学以外にもこうした養成所で資格を取得することができます。神社の養成機関なので実務に携わることが多く、実践的な人材になりやすいそうです。

例えばお供え物を三方に乗せること一つをとっても、養成機関を出た人は手慣れた感じでやるのに対して大学を出た人間は経験がほとんどないのでいろいろ悩みながら乗せていくという違いがあるとかないとか。

人づてに聞いた話なのでまあ参考までに。

めっちゃ地鎮祭に特化した神社だった

話を戻します。

私が入社した神社はめっちゃ地鎮祭に特化した神社でした。

地鎮祭を依頼したら「施工会社や施主でいろんな準備があるんだろうな」と考えるところですが・・・神社の車に祭壇、三方、鎌、鍬、鋤、地鎮祭に必要なものはなんでもかんでも積んでありました。

神様にお供えするお米やお酒、野菜果物も神社側で準備です。

「神社で全部準備するから施工会社は何にも地鎮祭の準備をしなくておっけー」

これをウリにして地鎮祭の件数を伸ばしていたようです。

なんでもかんでも準備をすると対等であるはずの神社と施工会社との関係が施工会社がエライような雰囲気になったり(全部の神社がそうではないけど)と弊害があったりするのですが、神社も社入を得るための試行錯誤を行っているわけです。

入社1か月も経たず地鎮祭へ

ということで先輩といっしょに何回か地鎮祭へ行った私。その後すぐに1人で地鎮祭へ行くこととなりました。入社して1か月も経っていない時期だったと思います。

当時の心境としては「えっこんなに早く1人で地鎮祭へ行っていいのかよ」っていう感じでした・・・いやまあ式自体はできるようになるのですが、参列者への配慮だったりとか何か質問された時の対応だったりとか・・・ 大学を出たばっかりで右も左もわからず、そうした面でどうしたらいいのかわからず困った覚えがあります。そんときの施主さんほんとゴメン。

神社としては早く地鎮祭に行かせて社入を増やしたいということなんでしょうが、神主として滞りなく式を進行できるようになるには「先輩を見て学ぶ」、「先輩に言われて気づく」、ということも必要だと思うのでなかなかバランスが難しいところです。

どのぐらいで神主として神事に携われるかは神社次第

こういう話を聞くと、神主の資格を持って入社すればすぐに神事ができるんだと思うかもしれませんが、これは神社の方針次第です。

当時の先輩から「〇〇神社みたいな大きなところは2~3年祝詞すら触らせてもらえないからここ(私が奉職した神社のこと)は神事がたくさんできるという点だけは良いのかもしれない」と言われたことがあります。

神社によっては宮司さん(神社のトップ)の考え方が違い、数年間は雑用だけというところもあったりするようです。

ちなみに大きな神社に奉職した友達は1年目から神社で厄祓いなどの御祈祷をしたそうなので規模の大小によるものではありません。

社殿のほうはてきとうだった・・・

とまあ地鎮祭メインの神社なのはここまで書いてきた通りなのですが、肝心の社殿や境内の扱いが、もう何というか・・・

あんまり詳しく書くとどこのことかわかっちゃうので書けませんが、「まあ、うーん」って感じで。

神社でお祭りがあったり、七五三や厄祓いのご祈祷があったりしたときは、まあやることはやるんですが、テキトーな感じは否めませんでした。

一部の職員を除いて職員の出入りも激しいし(残っている人も行くことないからいる感じ)、先輩からはいずれ辞めることが前提で話をされるし、神社のことを話したら友達からは「そこ掃き溜めやんか」と言われるし、とある集まりで他の神社の人と話をしたら同情されるし・・・

その代わり他の神社にくらべて仕事内容とか規則が緩かったのですが、それはまたそれで問題あるような無いような・・・

まあ、この話はこれぐらいにしておきます。

大学で学んだこととのギャップ

私がいた神社は例外中の例外ですが、普通の神社でもギャップというのはあったりします。

大学で学ぶことと実際の現場ってけっこう隔たりがあって、学校の先生からも「学校で学んだことはいったん忘れて神社のやり方に従ってやりなさい」的なことを言われました。

大学で作法を学んだからといってすぐに何でもできるというわけではなく、神社ごとにやり方あるのでそれを学んで適応していく必要があるんですよね・・・

作法ひとつをとっても「ここは右の足から動く」みたいな基本中の基本は同じですが、その他の動きや式の進め方は神社の考え方次第。大学時代に実際に神社に行って実習を行うこともありますが、そこで学んだことが奉職先でも同じというわけでもなく・・・

また神社の中でも○○さんについて式をするときはこう、△△さんについて式をするときはこう・・・といった感じで人や、式の大きさ、自分のポジションなども考慮しながら行動しなければならず、単純に式をやっていればいいというものではありません。

当然事務処理の進め方も神社によって違いますし、A神社の常識がB神社では全く通じないみたいなこともあり、同じ神社でもトップが違えば全然違うということは肝に銘じておきたい事柄です。

大学を出て神社に奉職をした人はみんないろんなギャップを感じながらそこの神社での仕事を覚えていったと思われます。

え、私?私の場合ははじめて奉職した神社がまあ、アレですから・・・一人で地鎮祭に行って戻って・・・を繰り返す日々。地鎮祭の数を多くこなすために1人行動が主な神社だったのでろくずっぽ学べませんでした(ウーン

そしてその後、神社を辞めて他の神社に非常勤として手伝いに行く中でいろいろ痛感するのでありました。

業界での評判の悪さを痛感

とまあいろいろ考えることはありながらも日々の地鎮祭を奉仕していたのですが、「うっわウチの神社、業界での評判ワルっ」と思う出来事がありました。

ある日地鎮祭に行ったら近くの敷地で他の神社の神主さんが地鎮祭の片づけをしていたので当然挨拶しておくべきだろうと、声をかけたのですが、

私:「こんにちは」

相手:「どちらの神社さんですか?」

私:「〇〇神社です」

相手:ガン無視・・・

え、神社の名前出しただけでこれですか、これはひどい・・・

先輩から「ウチの神社は評判悪いから」的なことを聞いていたのですがまさかここまでとは思いませんでした(もちろん普通に接してくれる神社の人もいて、そいう人がほとんどだったけど)。

なぜ評判が悪いのか

なぜ評判が悪いのか。その理由は

  • 遠隔地までガンガン地鎮祭に行っていた
  • 宮司(神社のトップ)が神社同士の集まりに全く顔を出していなかった

この2点であろうと思います。

都市部ではだいぶ薄れてきていると思いますが、「地鎮祭は地元の神社で行うもの」という意識があり、よその神社の氏子区域(その神社が担当する地域みたいなの)で地鎮祭を行うと「あれはどこの神社だ」みたいに思われることがあります。私の居た神社はガンガンよその神社の氏子区域で地鎮祭を行っていたので、いろいろ積もり積もったものがあったでしょうね・・・

次にもっと問題なのが神社同士の交流が全くと言っていいほど無かったということ。人間同士のやることなので、神社同士の集まりに顔を出したり、神社関係者同士での活動などで貢献していれば「○○さんお疲れ様です」ぐらいの話で済んだりするのですが・・・

全く顔を出さずに好き放題やってると、「あそこの神社何なんだ。顔出さねーし。」みたいに神社同士の摩擦が発生しやすくなります。

どこの業界もそうかもしれませんが、他社とのつながりというのもけっこう大切な要素なのです。まあ逆にそれがしがらみになることもあるので難しいところですが。


話が長くなったので今回はこのへんにして次回は神社内の人間関係とかも書いてみたいと思います。

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