神社の神主の就職事情?求人や面接など 女性の神職もいる?
前回は神主経験者が別業種の面接を受けたときの話を書いてみましたが、今回は神主の就職事情についても書いてみたいと思います。
そもそも神主になるには?
「まず、神主ってどうやってなるんだ?」と思った人も多いと思いますが、
- 大学で資格を取得する
- 大きな神社にある養成機関に入る
- 講習会を受講する
とおおまかに3つの方法があるかと思います。他にも無いことはないですが、たぶんこの3つがオーソドックスです。
大学というのは東京都の國學院大學と三重県の皇學館大学です。この2つの大学には神職課程というものがあって大学卒業時に資格を取得することができます。
養成機関に関しては神社庁からの推薦が必要だったり、講習会は神社の推薦が必要だったりするようです。
このほか、神社本庁(全国の神社の統括機関)で検定を受けるという方法もありますが、例えるならば自動車学校に行かずに免許センターで試験を受けるみたいなもんです。難易度はかなり高いようです。
神職階位
この資格は全国の神社の統括機関である神社本庁(じんじゃほんちょう)というところから階位というものを授けられるというものなんですが、この階位にはランク付けみたいなものがあって上から
- 浄階(じょうかい)
- 明階(めいかい)
- 正階(せいかい)
- 権正階(ごんせいかい)
- 直階(ちょっかい)
となっています。浄階は長い間神社界に貢献した人に与えられる階位なのでレアです。
大学で学ぶといきなり正階がもらえますが、講習会だと直階を取得してまた次の講習を受けて権正階を取得してといったふうにしないといけないなど、資格を取得する方法によって階位は違ってきます。
大学に来る求人 条件とか
前置きが長くなってしまいましたが、私の場合は大学に来た求人から神社に就職(業界的には奉職という)しましたのでそのことについて書いてみたいと思います。もう10年以上前の話になるので現在は多少変わっているところもあるかもしれませんが、興味のある人は読んでもらえればと思います。
大学には養成所とか養成室とか言われる神社からの求人を案内してくれる的なところがあるのですが、そこで求人を見ることができます。
どんな資格や資質が求められるの?
だいたい書いてあるのは要自動車運転免許とか明るくて素直でやる気のある人みたいなことです。
地鎮祭など神社の外でのお祭りがあったり、物を運んだり雑用をしたりで車を使う機会は多々あるので運転免許はほぼ必須。MT車の免許のほうが望ましいと思います。
あとは神社業界って他とくらべてパソコンを使えない人が多いのでパソコンで事務作業ができる人とか。
あとは筆のうまい人とか。
そんな感じの求人がきていました。
雅楽とか衣紋(えもん)ができる人が良い
神主の資格が取得できる学校って部活も特殊な部活があって、神主の作法を学ぶ部活とか雅楽を学ぶ部活があります。
神社にもよりますが、神社に就職すると雅楽をやったりとか、偉い人に装束を着けたりとか(衣紋)そういったことも必要になってきます。
在学中にそうしたサークルに入っていると他の学生よりも知識がつきますし、部長をやっていたりとか先頭に立っていろいろ活動していた人は大きな神社に就職しているイメージがあります。
まあ、私はそういうところに所属していなかったので全然できませんでした(御察しください)。
休みとか給料とかは
休みは月6回ぐらいのところが多いです、少ないところとかは4日とか・・・月8日休みがあったら、「なんやここめっちゃ休み多いやんけー!!」とかそいうレベルです。休みが年間100日以上のところはまずありません。
勤務時間はやっぱり朝早いところが多いです。勤務時間は一応書いてあったような気がしますが、実際に働いてみたら、神社によってはタイムカードすら無かったりとか・・・
労働時間は長いと考えていいでしょうね。中にはブラックでも無い神社もあるとは思いますが・・・
社会保険は厚生年金のあるところが多かったような気がしますが、中にはろくずっぽ社会保障の無いところもあると聞きます。
そういうところは神社界の中でもよりブラックだと思われます。
給料は初任給で手取り20万円行くところは超レアです。15~18万とか、少ないところだと12~13万とかもありうるかも。
就職試験は専願制
求人が来ている中から応募したい神社が決まったら、書類選考・・・はあるのかもしれませんがほぼ確実に面接です。
一部の大きな神社は学内で選抜があって、選抜された人だけ面接に行けるという感じでしたが、他の神社はほぼ確実に面接まで行って、よっぽど変なことをしなければほぼ確実に採用されます。
ただし、専願制なので内定したら絶対にそこの神社に就職しなければなりません。業界は狭いし、神社と大学の関係性が深く、こんなことになってます。
企業への就職活動をしたことがある人からすると信じられないかもしれませんが、神社へ就職しようとしている人たちの間では大学3~4回生になる頃には当たり前のことで、私も「そういう業界だよな」と納得というかなんというか、深く捉えていませんでした。
ちなみに稀にのすごくチャランポランな人が面接を受けたりするのですが、そういう人でも採用しちゃって、入社してすぐに解雇とかいう話も聞いたことがありますし、見たこともあります。採用しなきゃいいのに・・・
聞いた話なので本当かどうかは知りませんが面接で「殴って厳しく指導する」みたいなことを言われたので、就職を断った人もいたそうです。そんな人は大学の養成所だか養成室から「きみは考え方が甘い」みたいなことを言われたんだとか、そんなこと言われたって殴られるの分かってて就職したく無いし。
でもそういう世界です。ちなみに幸い私の周りは暴力沙汰はありませんでした。
選ばなければだいたい就職できると思う
他の業種でも言われていることかと思いますが、神職の資格を持っていて条件を選ばなければどこかの神社には就職できると思います。
地方では神主も人手不足みたいな話もありますし。
そのかわり仕事はきついわ人間関係はたいへんだわで、本当にやりたい人だけって世界な気がします。
数少ない良い点ってのは祈祷を依頼する人から好意的に見てもらえるってことでしょうか。神社で祈願する人はやっぱり神社が好きなので神主ってだけでありがたがってもらえることがあります。普通の企業に就職してそんなことってなかなか無いのでそのへんは貴重なのかなと思ったり。
コネでいろいろ
はじめに書いたように神主の資格を取れる大学は東京の國學院大學と三重の皇学館大学の2校だけと限られているので学生の親同士が大学時代の友達だったり、先輩後輩だったりすることがあります。
そんなわけで狭い業界なので大きな神社の宮司さんたち同士で、「今度うちの息子が大学卒業するんだけど、お前のとこで修業させてくんない?」みたいなこともあるようです。
よく言われることですが神社の家の人。社家(しゃけ)って言われてますが、社家の人たちと一般家庭の人たちでは就職事情に差があります。
女性神職もあるけど狭き門
神社の神主には女性神職というものもあって、女性でも神主になることができます。
でも「巫女さんは見たことあるけど女性神職はあんまりみたこと無い」っていう人、多いんじゃないでしょうか。
女性神職は存在するもののなかなか世間での認知度は高くありませんし(近年のスピリチュアルブームで認知度は上がっているかもしれませんが)、求人自体もかなり少ないです。
例えば宮司さんの奥さんも神職をやっているとか、女性が神社の要職に着いている神社だったら女性神職にも理解があって、女性神職としても採用してもらえるかもしれませんが、新たに女性神職を採用しようという神社はなかなか無いと思います。
大学でせっかく神職の資格を取得しても巫女さんとして神社に就職する女性の人もいます。
巫女さんは資格無くてもなれるけど
一方、巫女さんは資格が無くてもなることができます。さっき書いたように大学を卒業して巫女さんになったり、高校を卒業して巫女さんになったり。
巫女さん経験者に聞いてみたら高校に普通に求人が来たらしいです。
ただし、年齢制限があって、神社にもよりますが25歳とか30歳で巫女さんは引退のようです。その年齢になったら神社の事務職になったり、違う業種に転職したりと違う道を探さなくてはなりません。
就職したあとの同業転職はどうするの?
実家が神社という人の場合は大きな神社で数年修業して実家に戻って神主をするというケースがほとんどのようです。
ですが実家が神社で無い人が神社に就職して、様々な理由で他神社に転職したいと思ったときはどうするのでしょうか。
そいうった場合もやはりコネです。
大学の卒業生の集まりに行ったり、他の神社の人との会合の場に出たりしてとにかく顔を広めることです。そうすることで職員に空きが出たときに声を掛けてもらうといったことがほとんどだと思われます(それか大学の養成所とか養成室へ行って相談してみる)。
転職サイトやハローワークで探してみると神社の求人って無いことは無いですが、ほとんどはこうしたコネで決まっていると思います。
コネが大事だよ
ってなわけで書き綴ってみたんですが、やっぱりパイプがある人のほうが有利です。
実家が神社の人の方がコネがある程度ありますが、そうで無い人も知識を身に着けたりいろんな集まりに顔を出して交遊を広めていたりして、やっぱりそいう立ち回りって大切だなと思う今日この頃。
かくいう私は大学時代の同級生とたまに交流があるぐらいで全然そんなことがありません(オイ
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