女の神主がいるって知ってた?女性神職の歴史と現在
みなさんは神社に居る女性と言うと巫女さんをまっさきに思い浮かべるかもしれませんが、実は女性の神主さんもいるって知ってました?
「えっ?神主って男だけじゃないの?」「巫女さんのことじゃないの?」と思った人もいるでしょうが、戦後になってから女性神職がというものができ、現在では徐々にですが人数も増えてきてるんです。
そんなわけで他の記事でもちょくちょく触れているのですが、今回は女性神職について書いてみたいと思います。
女性神職の制度ができたきっかけ
女性神職の制度ができたのは戦後になってから。江戸時代までも女性の神職は存在したようですが、明治時代になって政府の政策で女性神職の存在は無くなりました。
ただ、第二次世界大戦中に神主が出征して不在になった神社を守っていたのは女性たちでした。また、出征した神主たちの戦死や男女同権意識の高まりもあって、戦後になってから再び女性の神職の制度が出来上がったようです。
女性神職の装束
#女性神職 のご祈願時の #装束、今日実際に着てご奉仕しました。帯の後処理がよくわからず、長く下がり過ぎました。足元は浅沓(あさぐつ、というポックリした履物)の方が合いますね。
— 玉敷神社 (@tamashiki_04430) April 26, 2018
春らしい色合いなので好評です。 pic.twitter.com/CFg0c4B22t
女性神職の装束は男性のそれとは違います。
埼玉県の玉敷神社さんがTwitterにて女性神職の装束をアップしていらっしゃったので貼ってみました。
男性神職と違って笏(しゃく)は持たず、扇を持って作法を行います。また、男性神職は烏帽子をかぶりますが、女性は額当(ぬかあて)というものを着けます。
常装と正装によっても違ってきたりするのですが男性神職と女性神職で装束が違うことはお分かりいただけると思います。
細かい装束の決まり云々については難しいのでパスで!(オイ
男性神職と同じ装束を着ける人も
ただ、女性用の装束が揃えられない等の理由で男性と同じ装束を着てお祭りを行う女性神職もいます。
このあたりは神社の判断によるところが大きいと思われます。
女性神職の抱える問題
女性の神主が少しずつ増えてきているとはいっても神社界は男社会な面は多々あり、いくつかの問題も抱えています。
仕事内容の問題
神社では授与品やお祭りの道具を運んだりといった力仕事がけっこうあります。小さな神社ほど何でもやらなければならないので大工仕事的なことをやったりということも・・・
また、神社によっては宿直をしなければなりません。
こうした部分を女性神職に同じように割り当てられるかというとそうはいかない部分もあります。
設備の問題
これまで女性がいなかった職場に新たに女性が入ることになった場合、着替える場所や潔斎(けっさい・心身を清めること)の場を新たに設けなければなりませんし、装束も新たに準備しなければなりません(さっき書いたように男性神職の装束を使っている人もいますが)。
これまでも女性神職が勤めていた神社ならばこうした問題はありませんが、こうした理由から新たに女性神職を採用するというのはハードルが高くなっています。
周りの意識の問題
氏子さんや崇敬者の中には「神主は男でないと」という意識の人もまだまだいるようです。
自分の知っているケースだと、お祭りに行ったら「女か」と言われ軽く扱われたりとか・・・他には「男性の神主さんにお祓いをしてもらいたい」といわれたりといったこともあるようです。
あとはお祭りのあとの直会(なおらい・お祭りのあとにみんなでお供え物をいただくこと)の場で総代さんからセクハラのようなことを言われたりとか。
あ、これは女性神職は関係ないか。巫女さんでも同じだろうし・・・
まあ、とにかく女性神職が神明奉仕をしていく上でのこうした問題があるのです。
でも次第に受け入れられている面も
しかしこうした中でも近年では女性神職のことがニュースになって世間に広まっているような気がします。
いくつかニュースをピックアップしてみます。
寂れた神社再興し女性宮司がカフェ運営 奈良・御所の葛木御歳神社
神社に嫁いだとかじゃなく、先代宮司の許可を得て神職資格を取得、神社を継いで寂れていた神社を立派に復興したというやり手の女性神職さんです。
クラウドファンディングなども活用されていて、ただただスゴイとおもうばかり。
しなやかに切り拓いた女性神職の道(美波多神社 佐久間みゆき 宮司)
総代の息子さんから神社の後継話を持ちかけられ、それがきっかけで女性神職として奉職した方のお話です。
女性神職の苦労や周囲への配慮など伺い知ることができる記事です。
女性神職 活躍の時代
中日新聞の記事です。
女性神職の数が増えてきていることがグラフでわかります。
巫女と間違えられたという話や「丁寧な印象」と言われたという話など、女性神職が周囲からどのように認識されているのか伺えるエピソードが掲載されています。
タクシーやバスの運転手と一緒かも?
昔、研修か何かで「女性神職を普及させるには何をすべきか」といった議題で話し合ったことがあります。
そのときに出た話が「昔はタクシーやバスの運転手で女性がいると、え?って思ったけど今は受け入れられている。女性神職も周知していくしかない」みたいな事でした。
たしかに徐々に浸透させていくことで世間に受け入れられるっていうのはあると思います。
御朱印ブームに火をつけてマナーが問題になったりとメディアも良し悪しがありますが、女性神職がニュースに取り上げられることで徐々に受け入れられていけばなと個人的には思います。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません