現代の地鎮祭事情・氏神様に頼まないと駄目?

家を建てる前に行う地鎮祭。

工事の報告をし、工事の安全をお願いするのが主な目的の神事です。テレビなどで砂の山に鍬を入れている様子を1度ぐらい見たことがあるんじゃないでしょうか。

この地鎮祭なんですが、現代ではちょっぴり様相が変わってきています。

氏神様に依頼するのが筋だけど・・・

地鎮祭を神社に依頼する場合、土地のことなのでやはりその地域の氏神神社にお願いするのが筋ではあると思うのですが、現代では様々な事情によって違う神社に依頼するケースが多くなっています。

ちょっとその理由について書いてみたいと思います。

氏神様に人がいない

まずは氏神様に普段人がいないというケース。

地域の大きな神社が兼務していたり、神社の神主だけでは食べていけないから普段は他の仕事をしていたりで人が常駐していないというものです。

このような場合、なかなか地鎮祭を依頼するのも難しいので他の神社に頼むことになってしまいます。

準備がたいへん

地鎮祭を依頼した場合、神社によって

「砂と竹を準備してください」とか「お供え物と竹と砂を準備してください」とか「祭壇もお供えも準備してください、神主の迎えの車もお願いします」とか「全部神社で準備します」とか・・・

準備するものが全然違うんです。

ちなみに地鎮祭の件数が少ない神社( 観光地で参拝者が多いような神社など )ほど施主側が準備するものが多い傾向があります。

昔なら、「神事だからみんなで頑張って準備しよう」という人もたくさんいたのかもしれませんが、神事に使う道具なんてよくわからない人がほとんどですし、「時間に追われてなかなかそんな時間は・・・」という人も多いと思います。

そんなわけで氏神様よりも準備する物が少ない神社のほうに依頼することが多いんじゃないでしょうか。

工務店が地鎮祭の手配をするから

これは準備がたいへんというのとかぶる面もあります。

近年では地鎮祭の手配まで工務店さんが行うケースが多いです(昔がどうだったのかはよくわかりませんが)。

となると工務店さんとしては知らない神社に頼むよりも馴染みのある神社に頼んだほうが、準備をする物など勝手が分かっていますし、氏神様を調べる手間もありません。

こうした工務店さんが依頼する神社って地鎮祭に慣れてる神社が多くて、工務店側で準備する物も少ないことが多いです。

よって氏神様以外の神社に依頼するケースが多くなっています。

施主側から「どうしても氏神様にお願いしたい」といわない限りは工務店さんに馴染みのある神社でということになるんじゃないでしょうか。

違う神社が地鎮祭をやってもその土地の神様はお招きしている

そんなわけで現代では氏神神社以外に依頼することの多い地鎮祭ですが、地鎮祭の式次第の中で神様をお迎えする「降神(こうしん)」という儀式では、その土地の神様をお迎えしています(神社でやるわけじゃないので神様に来てもらう必要がある)。

その神社によって微妙に違いはあるかもしれませんが、地鎮祭なので主に大地の神様である「大地主大神(おおとこぬしのおおかみ)様」とその土地の神様である「産土大神(うぶすなのおおかみ)様」をお迎えしているんです。

「降神詞(こうしんし)」という神様に降りてきてもらうための詞を奏上するのですが、その中で大地主大神様、産土大神様の名前を奏上していると思います。
※微音で奏上する決まりがあるので参列者には聞こえないかもしれませんが。

産土大神様というのはその土地の神様を指すものですので地域ごとに異なり、神社の具体的な名前を挙げているわではないのですが、その土地にまつわる神様をお迎えしていることにはなります。

よって全く土地に縁の無い神様をお招きして地鎮祭をしているわけではないのでその点はご安心を。

世の中の流れで仕方が無いか

世の中の流れとともに多少形が変化していくのは仕方の無いことなのかなと思います。

氏神様にお願いできればそれに越したことは無いかもしれませんが、県をいくつもまたぐとか極端に遠方の神社でも無ければ気にするほどのことでは無いのかもしれません。

地鎮祭以外でお参りしてみては

そんなわけで、現代では諸事情によって氏神様以外に地鎮祭を依頼するケースが多いわけですが、気になったら地鎮祭の前やあとに氏神様にお参りしてはどうでしょうか。

地鎮祭は依頼できなくても神社へお参りして「家を建てて住むことになりました」とご報告するのはとても意味のあることだと思います。

神様同士が喧嘩をするということもありませんし、これから住むことになる地域の神様ですからご挨拶も必要でしょう。

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