神主の資格を取る大学の授業・部活・実習などなど~私の神主記録3~
前回は神主になるための大学、皇學館大学での独特な大学での寮生活について書きましたが、今回は大学での授業などについて書いてみたいと思います。
なお、神主になるための大学といっても他の学科があり、神主にならない人も多数います。今回記す大学生活の内容は神主の資格を取ろうと大学に通っている人たちのものですのであらかじめご承知おきください。
※お約束ですが昔の記憶を頼りに書いているので現在とは違うところがあります。
講義はスーツで受ける!?
大学に通ってたらすっかり慣れてしまうんですが、まず他と違うのが「スーツで講義を受ける」という点です。
スーツで授業を受けるというのは全ての講義が対象では無いのですが、神道に関する講義はスーツを着用することとされていました。神道の講義を受けるから外見もビシッとという感じでしょうか。
普通の大学では講義にスーツで行くとしたら、講義のあとに面接があるとかでしょうが、「皇學館大学では講義を受けるためにスーツ」でした。おかげで大学の構内はスーツの人がめっちゃ多い!だからってどうということもないのですが、大学の特殊な雰囲気がありました。
私も大学生活の途中からほとんどスーツで講義を受けていました。スーツを着ていても学内で浮くこともないし、着る服を考える必要が無いからかえって楽という面もありました(笑)。もう関係のない授業でもスーツで出てたような気がします。
講義の内容など
講義の内容は1回生のうちは他の大学と同様に一般教養科目が多く、だんだんと専門的になっていきます。
2回生になると「祭式及び同行事作法」(名前うろ覚えです)という講義がはじまり、神主の白衣を着て作法を学びます。学ぶ作法の内容は奉職(神社への就職)を経験した今からすると難しいわけでもないのですが、何にも知らない状態から学ぶので当時は四苦八苦・・・友達とあれやこれや言いながら講義を受けたのも良い思い出です。
他にはどんな講義があったのかというと、パっと思い出せるところだと・・・祭祀概論、有職故実(ゆうそくこじつ)、祝詞作文、神道強化概論、とかそんな感じです。
一口に神主の勉強といっても祭式の作法から、装束について、祝詞の作り方、神道の歴史、一般の人へのどうやって神道のことを伝えるか・・・などなど学ぶことは多岐にわたります。
私のその頃の成績はというと・・・(お察しください
「もっと勉強しておけばよかった」よくある話ですが、この世界でも実際に神社に奉職してみてから「神主としてこれぐらいの知識は得ておきたかった・・・」ということは多々ありました。しかし在学中にそのことに気づくのはなかなか難しく・・・その当時将来を見据えてきちんと知識を吸収していた人には感服するばかりです。
神道系の大学らしい部活
部活も他には無い独自の部活があります。それは「祭式研究部」と「雅楽部」。
祭式研究部は祭式の作法や装束の着け方を学ぶことができ、雅楽部はその名の通り雅楽を習います。どちらの部活も通常の講義よりも深く学ぶことができるので部活に入る人は将来神社への奉職を考えている人がほとんどです。
某有名神社への奉職は学内で選抜があって、選ばれた人がだけが面接を受けるという場合もありますが、選ばれた人は祭式研究部の人だったように記憶しています。
衣紋(装束を着ける)や雅楽ができると奉職したときにスタートラインが違うので本気で神主として頑張りたい人はこれらの部活に入るべきでしょうね。
また、少し話は反れますが合気道、空手、居合、弓道などの部活はまとめて武道部系と言われていました。武道部系は自動的に応援団も兼ねているみたいで各部活から集まって練習やら上下関係やら何かと大変そうでありました。
えっ私?私は帰宅部です(オイ
神職養成室というシステム
大学には学生課や教務課のほかに神職養成室というところがあります。ここでは神社に奉職するにあたって様々な業務が行われていました。
神職養成室の先生と話をして進路を決めたり、神社からの求人を見たり、過去に神社の面接を受けた人の覚書など各種データを見たりと奉職するうえで避けて通れないところです。
後で書きますが、神職になるためには神社で実習を受ける必要があり、実習前の説明会や実習に関する各種管理が行われていたと思います。
うっかり実習前の説明会に参加するのを忘れていたり、時間や決まりにルーズなところがあるとけっこう厳しめな感じで怒られます。まあ、これから神社に奉職しようという人を育成するわけですから当然っちゃ当然ですが。
また、年末年始の神社の手伝いをする人(みんな神社奉仕って言ってた)の募集を行っていました。これは神職を目指す人以外も申し込むことができ、神社によっては奉仕料(まあ要は給料なんだけど神社なのでこう呼びます)が良いので、「ここは高いらしいぜ」とか友達同士で情報が出回ってました。でもあくまで奉仕なので養成室で「ここの神社はいくらもらえるんですか?」とか聞いたら怒られます(汗
あと余談ですが祭式研究部とかに入っていると養成室では募集していない神社からの神社奉仕の話があるかもしれないです。
各種実習
神主になるためのコースみたいなのを神職課程と呼んでいたのですが、この神職課程では実際に神社へ行って実習を受ける必要がありました。
一番初めの実習は神務基礎実習という名前だったように記憶しています。神社じゃなくて会館みたいなところで白衣の着け方とか基礎の基礎を学ぶような感じでしたが、次からは神社での実習です。
受け入れ先の神社はある程度決まっていて、中には東京の國學院大學の人と一緒に実習を受けるケースも。泊まり込みで神社の実務を手伝いつつ講義を受けたり・・・毎日神社漬けです。
伊勢の神宮での実習もあって神宮実習って言ってたかな・・・最後は神社本庁で中央実習という実習。
実習に行く順番を並べてみると・・・
神務基礎実習→指定神社実習→個別神社実習→神宮実習→中央実習
みたいな感じだったと記憶していますが、今はどうなってるんでしょうねえ。
ほとんどの実習は泊まり込みで何泊もして行います。外界から隔絶された生活を苦痛に感じる人も多かったんじゃないでしょうか。
ちなみに受け入れ先のこともあるので、いっぺんに全学生が実習を受けるわけではなくて、いくつかのグループに分けて実習が行われます。誰と一緒のグループになるかはランダムなのでけっこう人間関係も大切な要素です。実習を通してこれまで話したことが無かった人と仲良くなるということもあるのですが、大学の寮に入っていると交友関係も広くなるので、寝食をともにする実習の時もちょっとはやりやすいのかなと思ったり。
実習はしんどいのはしんどいですが、一緒に参加した人たちとの団結心みたいなものも生まれますし(もともとそりが合わない人同士は変わりようがありませんが)、前の記事でも書きましたが仕事の損得関係無しに付き合える関係が築けるのも貴重なもんだなと。
ということで大学生活について書いてみました。掘り起こしていけばいろんなエピソードも出てきたりしますが、あんまり神主に関係ないことを書くのもあれだし今宵はここまでに致しとうござりまする。
今度は奉職のときの話でも書こうと思います。
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