神社と神主の数をチェック・人手不足の理由を考える
世の中アルバイトの人手が不足したりしているようですが、神社界も人手不足。
今回はいろんな観点感から神社の人手不足について考えてみたいと思います。
数字で見る神社と神主の数
政府統計の総合窓口e-statというサイトでは宗教統計調査の結果も見ることができるます。
とりあえずここの2019年度の包括宗教団体の被包括宗教団体・教師・信者数をチェックしてみましたが、神道系の神社神道系の神社の数は
79070社
となっています。出雲大社教や金光教などの教派神道や新興の神社系宗教は含みませんが全国の神社の数はだいたい八万社ぐらいじゃないでしょうか。
そして神社の場合は神主にあたるであろう教師の数を見てみると神社神道系は
25159人
となっています。教派神道の神主とか数字はいろいろありますが、とりあえず今回は神社の数と神主の数にどのぐらいの差があるのか見るためなので細かい突込みはご遠慮ください。
とりあえずこの数値から全国に神社が約8万社あるのにたいして神主の数はかなり少ないということがわかるでしょう。
なんでこんなに神主が少ないのか
神社だけじゃ食っていけない
なぜこんなに神主が少ないのかというと、神社だけでは食っていけないという部分が大いにあると思います。
神社によくお参りする人ならご存じでしょうが神社の多くは普段人が詰めておらず、お祭りの時だけ神主がやってきてお祭りを行うという神社が多数あります。神社の収入だけで生活できるというのは全体から見るとかなりレアケースなのです。神主が詰めている神社でも、神社の収入だけでは厳しく他の仕事と兼業しているケースも多々あります。
ちなみに小さな神社は地域の大きな神社の神主が兼務していることが多く、中には10社や20社兼務していることもあるようです。
人口が都市部に集中して地方は人口が減っている地域も多いでしょうし収入面での問題が一番大きいように思います。
神主になるための条件
世の中御朱印ブームで神社に興味を持つ人は多いと思いますが、神主になろうって人はそんなに多くないんじゃないでしょうか。
神主になるには東京の國學院大學か三重県の皇學館大学で学ぶ(4年制のほかに専攻科もある)、大学や大きな神社に付属する養成所(たぶん全国で6か所ぐらい期間は2年間のとこが多いと思う)で学ぶ、國學院大學か皇學館大学で行われる講習会で学ぶといった方法があります。
そして神主には階位というものがあるのですがこれらの場所で学ぶとことによって階位を授かることができます。(学ぶところや期間によってもらえる階位が違うのですがそれはとりあえず置いといて・・・)
ただし、4年制大学の場合は資格を取っても一般企業に就職する人がいますし、養成所は募集が十数人と少ないです。短期間で階位をもらえる講習会は奉職する神社が決まっていて宮司さん等の推薦が必要といった条件が設けられていて受講する条件が難しくなっているようです。
あんまり簡単に取れても問題ですが、「神主の資格を取ろうか」といってホイと取れるものではないというのも1つの理由かもしれません。
奉職した神社の問題
神社で務めることを奉職といいますが、階位を取得して神社に奉職したとしても、労働条件は厳しいところが多いです。給料は高くなく朝早くから出勤しなければなりませんし、休みも少ないです。
小規模な神社では部署が分かれているわけでもないので雑用からご祈祷まで何でもこなさなくてはいけません。観光地にある大きな神社など、給料の良いところもあるようですが・・・条件が厳しいところが多いでしょう。
あとこれは運次第ですが、どんな上司がいるかというのも大きなポイントです。神社界というのは閉鎖的なので、変わった人に当たる確率も高いというかなんというか・・・
こうした神社は多いとは言いませんが、派閥争いやいじめで辞めていく人もいるでしょう。外から見た神主のイメージに憧れて神社に奉職した人なんかはギャップの大きさに疲弊する部分も多いと思います。
こんなことから神社に奉職しても辞めてしまう人もけっこういるわけで、働きやすさ(神社的に言うと神明奉仕のしやすさ)という要素もあるかもしれません。
また、神社の上層部の考え方も影響しているかもしれません。中堅や若手の神主の中には変革をしていこうという人もいると思いますが、神社界全体としては変化を好まないというか・・・出る杭は打たれる的な空気があります。
時代とともに仕事内容が変化しているにもかかわらず「私たちがやってたときはこの人数でできた」みたいな考えで人を増やさないケースもあるでしょう。
これはあくまで伝聞なので話半分に聞いておいていただきたいですが、パワースポットブームで飛躍的に参拝者が増えた某神社の宮司さんでも「特に人増やす気無いよ」とおっしゃっていたとか何とか。
温かい目で見守ってあげてね
そういうわけで神主の数が圧倒的に足りない神社界。資格や人間関係という問題もありますが、やっぱりおおきな問題は収入面でしょう。
普通の記事なら最後に「改善していくために・・・」みたいなことを書くのでしょうが、収入の問題は正直歯止めが利かない気もします。
神社にお参りしているときに忙しく動き回っている神主さんをみたらどうぞ温かい目で見てあげてください。
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