神主は「ありがとうございました」って言わない?
なんだか釣りみたいなタイトルにしてしまいましたが、神主はじめ神社にいる人って客商売にくらべて「ありがとうございました」ということはかなり少ないです。
「お礼を言わないなんて失礼だな」と思ったかもしれませんが実はこれには理由があります。
そんなわけで今回は神主や神社関係者と「ありがとうございました」という言葉について書いてみたいと思います。
なぜありがとうと言わないのか
皆さんが神社の授与所でお札やお守りを受けたときのことをちょと思い出してみて欲しいのですが、神主さんや巫女さんからどのように声を掛けられたでしょうか?
「ようこそお参りくださいました」とか「ご苦労さまでしたとか」そんな言葉じゃなかったでしょうか。まあ、中には「ありがとうございました」と言われた人もいるかもしれませんが、たいていの場合は」ありがとうございました」以外の言葉だと思います。
これはどういった理由があるのでしょうか。自分が学生時代に聞いた話も交えつつ説明していきます。
参拝者はあくまでも神様にお願いするから
学生時代に年末年始の神社の手伝いに行くことがあったのですが、神社へ行く前に講習みたいなのがあって、その際に言われたことがあります。
それは「お参りに来る人はあくまでも神様のところへ来たのであって神主や神社の人関係者のところへ来たのではない」「何かしてもらってありがとうございますということはあるけれどもお札やお守りを授与したことにたいしては言わない」ということです。
参拝者は神様にお願いしてるんだから、神様が言うならともかく間をとりもつ神主や神社関係者が「ありがとうございました」というのはおかしいというわけですね。
このことはかなり念を押した感じで注意されまして、気をつけるようにしました。まあ、ずっと社務所でお守りなどの授与をしていたら慣れてくるので「ありがとうございました」と言ってしまうことはほとんどありませんでしたが。
ありがとうに代わる言葉
「ありがとうございました」が駄目ならどんな言葉を使っているのかというと、さっきも書いたとおり「ようこそお参りくださいました」が一番オーソドックスなんじゃないかなと思います。
簡単に「ようお参りでした」という人もいるみたいですが、きちんと丁寧に「ようこそお参りくださいました」というべきだという神主さんもいて、自分も確かにその通りだなと思っています。
「ご苦労さまでした」という場合もありますが、神社にときどきお参りする知人は「なんでお前にご苦労さまでしたとか言われにゃならんのじゃ」と少しイラついていました。
あとは、帰路を気遣って「どうぞお気をつけて」とかでしょうか。
「ようこそお参りくださいました」が一般的だと思いますが、神社や状況によって使う言葉は様々だと思われます。
「ようお参りでした」について
ようお参りでしたという言葉について、関西圏の人から意見をいただきましたので追記させていただきます。
関西圏の人からすると「ようお参りでした」は省略したり、丁寧に言っていいないという感覚は無いそうです。「ようこそお参りくださいました」というと違和感を感じる参拝者の方もいてこのような形になっているのだとか。
言葉一つをとっても地域性というものがありそうです。
お金のやり取りをする時もちょっと違う
お金のやり取りをする時もちょっと違います。
お店なんかだと「○○円になります」とか「お会計は○○円です」とか「○○円のお支払いです」なんて言いますが、
神社だと「○○円のお納めでございます」とか「○○円お納めください」とかいう言い方をします。
神社の場合は対価としてお金を支払うんじゃなくて感謝や崇敬の念として神様にお金を納めるというわけです。
ちょっと汚い話をすると、実際のところはお金は神社職員が計算して会計をしますから実質支払うのと同じようなことになってるわけですが・・・でもまあ根底は神様への気持ちだということで覚えておいてもらえればと思います。
神主は言葉遣いでも立場を意識している
というわけで今回は神主と「ありがとうございました」という言葉について書いてみました。
参拝する側からするとたいして気にしていないことかもしれませんが、神主はこうした言葉遣いの点でも
- 神主は神様と参拝者の間を取り持つ立場
ということを意識しています。
皆さんが神社に参拝をしたらときに神社の人がどんな言葉遣いをするのかちょっと意識して聞いてみると面白いかもしれません。
あ、でも「ようこそお参りくださいましたって言えよ!」とかクレームをつけるのはやめてね。
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